幸いにして私の場合は、子どものことだとか、家のことだとか余計な心配事を抱えずに済み、状況としては恵まれていたほうだと思います。
そういう条件が整っていないのに、『思い切ってしがらみを断ち切ってリセットしたい』という個人の思いや、その場の雰囲気に流されて辞めてしまうと、家族は大変でしょうね」安易な離職はすべきでないと戒める一方、残るという選択をするのもそれなりの覚悟がいるといいます。
「先日、自分のいた会社の人事が新聞に載っていたんですが、もう完全に世代が変わっているんですね。
執行役員なんかみても、われわれ団塊の世代はスパーンと飛ばされてその下の世代に中心が移っています。
本人の能力努力次第ということはありますが、残ったとしても、活躍の場所が与えられるとは限らない。
『そんなことならいっそのこと辞めよう』とそれから思い立っても、今度はわれわれのときにはあったインセンティブがなかったりする。
難しい選択ですね」求職中、Tさんの家族はとても理解があり協力的でしたが、それでも彼らに精神的負荷をかけているという思いはあったといいます。
「自分の場合、失業給付が出たのが十一ヵ月くらいだったと思うんですが、ということは後ろ七ヵ月は収入が途絶えていたわけです。
何月何日になれば必ず仕事が見つかるというふうにお尻が決まっているわけでもない。
心配するというか、不安を感じるのは当たり前ですよね。
身内や親戚からも、『なんで辞めたのだろう』とか『なんで次が決まらないのだろう』とかいろいろいわれたり。
こちらはこちらで、向こうは向こうで互いに気を遣うということもありますし。
自分としても、『どこでもいいから』といったスタンスであればもっと早く決まったと思いますが、せっかく新しい道に進むわけだから中途半端な妥協だけは絶対にしたくなかった」「仕事の内容にやり甲斐を感じられるか」とか「報酬や待遇に満足できるか」といったことももちろん重要なことですが、転進を考えるのならば、まずそれ以前に絶対に留意すべき前提条件があるとTさんは強調します。
「とにかく一番大事なのは、やはり健康かどうかっていうこと。
そうでなければ、第二のスタートを切るうえで、絶対に大きな障害になると思います。
五十歳を過ぎれば、多かれ少なかれいろいろあるとは思いますが。
転職というのは、間違いなく身体にも精神にも負荷がかかるしエネルギーがいりますからね。
体調や健康に不安を抱えたまま新たな分野に転進して、エネルギッシュにチャレンジできるかっていったら無理でしょう」趣味の資格か、就職に役立てるための資格か?後者ならば、やみくもに取得するのではなく、コストパフォーマンス、つまり取得のために払わなくてはならない代償と、取得によって得られる成果の関係について、自分なりに事前の調査分析をしてみるべきである。
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